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起業物語Re77 再起編

深夜2時の電話 ―― すべてが崩れた夜

その電話は、あまりにも唐突だった。

その日、自分はたまたま別のクライアントとの接待で遅くまで飲んでいた。
仕事の延長の席で、気も張っていたし、そろそろ切り上げようかと思っていた頃だった。

携帯が震えた。
画面には、Oの名前。

時間は――深夜2時。

この時間に電話をかけてくる時点で、ただ事ではない。
嫌な予感しかしなかった。


「ぼこぼこにされました」

電話に出ると、Oの声は震えていた。

内容は、あまりにも異常だった。

「夜12時ごろ、代表と二人で会社にいたところを社長に見つかって…」
「その場でぼこぼこにされて…」
「そのあと、奥さん(Oの妻)も呼ばれて話し合いになって…」
「そのまま当日解雇になりました…体が痛いです…」

短い言葉だったが、
その裏にある出来事は、まるで昼ドラのような展開だった。

浮気、暴力、解雇――
すべてが一夜で起きていた。


それでも優先すべきは“仕事”

だが、その時の自分には、
その出来事を整理している余裕はなかった。

翌日の現場には、
Oが入る予定の重要な案件があった。

穴をあけるわけにはいかない。

自分はすぐに、夜勤をしている他の社員に電話をかけた。
事情は一切説明せず、

「明日、この現場を代わりに入ってほしい」

とだけ伝え、なんとか穴埋めをした。

正直、
浮気だ、暴力だと騒いでいる場合ではなかった。

クライアントの信頼を守ることが最優先だった。


翌日の“通達”

翌日、社長から呼び出された。

淡々とした口調で、こう告げられた。

・Oは解雇にした
・代表は辞任した
・この件は他言無用

あまりにも簡潔で、
あまりにも一方的な説明だった。

だが、それ以上の言葉はなかった。


代表の姿

その後、代表は自分のもとへ来た。

見るに堪えない状態だった。

顔には殴られた痕があり、
精神的にも完全に疲弊していた。

話を聞くと、

・携帯
・財布
・現金

すべてを取り上げられ、
逃げるようにして自分の家へ来たという。

会社の経理・総務を一手に担っていた代表が、
突然いなくなった。

現場も、事務も、組織も――
すべてが一気に崩れた。


混乱する会社

当然、社内は大混乱だった。

・なぜOがいないのか
・なぜ代表が来ないのか
・何が起きたのか

誰も正確な情報を知らない。

一部の社員は、Oから断片的に聞いていたようだったが、
自分はあえて何も語らなかった。

中途半端な情報は、余計に混乱を招く。
それがわかっていたからだ。


一人で背負った役割

その時の自分の役割は、完全に限界を超えていた。

・社長と代表の間に入り調整
・社員を落ち着かせる
・現場を回す
・クライアント対応

通常の倍以上の仕事量だった。

だが、やるしかなかった。

ここで自分が崩れたら、
会社は完全に止まる。


三者での話し合い

このままでは持たないと判断した自分は、
社長と代表に対して提案した。

「一度、三人で話し合いませんか」

感情のぶつかり合いではなく、
会社としてどうするかを決める必要があった。

話し合いは何度も重ねた。

最初は感情論ばかりだったが、
徐々に方向性が変わっていった。

「内実よりも、会社をどうするか」

自分のその意見が、
少しずつ受け入れられていった。


形だけの“平穏”

最終的には、

・将来的には離婚予定
・当面は会社運営を優先

という形で、
表面上は元の状態に近い形へ戻った。

ひとまずは落ち着いた――
そう思った。


だが、この会社は止まらない

しかし、この会社はそんな簡単に落ち着くような場所ではなかった。

問題が一つ終われば、
必ず次が起きる。

まるで、何かに引き寄せられるように。

この一件で、
自分の中の何かも確実に変わっていた。

そして――
またしても、新たな事件が起きる。

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この記事を書いた人

石川信孝
茨城で建設会社を経営しています
工具はマイナスドライバー1本しか持っていません

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