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起業物語Re78 再起編

社長交代劇 ―― 突然渡された“沈みかけの船”

ゴタゴタ続きだった会社に、また大きな転機が訪れた。

代表とOの問題、社員の退職、終わらない説教、現場の疲弊。
なんとか会社を回してはいたものの、空気は常に重苦しく、誰も未来を語れないような状態だった。

そんなある日。
社長から突然呼び出された。

「話がある」

いつものように社長室へ向かうと、思いもよらない言葉を告げられた。


「社長をお前に代わる」

社長
「会社、お前に任せるわ」

最初、意味が理解できなかった。

「……え?」

社長
「社長を交代する。お前がやれ」

何がどうなって、そういう話になるのか。
頭が追いつかなかった。

確かに会社は赤字続きだった。
現場も荒れていた。
そして、実際に日々の業務を回していたのは、ほぼ自分だった。

・現場対応
・社員管理
・クライアント対応
・トラブル処理
・工程管理
・総務的な調整

気づけば、自分が全部やっていた。

だからといって、
「はい、社長やります」
と簡単に言える話ではなかった。


借金まみれの会社

当時の会社は、正直かなり厳しかった。

利益は薄く、資金繰りも苦しい。
慢性的な人材不足。
そして、過去から積み重なった負の空気。

何より、自分は一度、会社経営で失敗している。

破産も経験していた。
その記憶は今でも鮮明だった。

だからこそ、借金を抱えた会社を引き継ぐことに、強い恐怖があった。

「また同じことになるんじゃないか」

そんな不安も当然あった。


それでも引き受けた理由

だが一方で、こうも思っていた。

「ここで自分が受けなければ、この会社は本当に終わるかもしれない」

社員たちの顔も浮かんだ。
理不尽な環境でも踏ん張って働いている人間たち。

自分が去ることは簡単だ。
だが、その結果どうなるのかも見えていた。

だったら――
最後に、自分のやり方でやってみよう。

今までの経営を全部変え、
立て直せないか挑戦してみよう。

そう決意した。


2023年12月、社長就任

2023年12月。
自分は社長を引き継ぐことになった。

もちろん、条件は出した。

「今後は、自分のやり方に完全に任せてください」

これは絶対条件だった。

なぜなら、この会社は

・言った言わない
・後出し
・感情論

これらで何度も崩壊しかけていたからだ。

あとから

「やっぱり違う」
「そんなつもりじゃなかった」

と口を出されれば、改革などできるはずがない。

社長もその場では、あっさり了承した。

だが――
その約束は、後にあっさり破られることになる。


目次

最初に手をつけた“キャッシュフロー”

社長になって最初に着手したのは、キャッシュフローの改善だった。

まず、自分がやったのは――
外注さんへの単価アップ。

普通なら、赤字会社で単価を上げるなど危険だと思われる。

だが、自分には狙いがあった。

条件付きで単価を上げたのだ。

「単価を上げる代わりに、1日もう1件工事を追加してください」

つまり、

・単価は上げる
・回転数も上げる

という形にした。

これによって、
一件ごとの粗利ではなく、
“全体の回転”でキャッシュを増やす戦略を取った。

単純な計算だが、
回転率が上がれば、会社に残る現金も増える。

現場のスピード感も変わった。

ただ――
このやり方も、後に問題視されることになる。


違和感だらけの“社長交代”

社長交代後、まず必要だったのは、関係各所への挨拶だった。

・クライアント
・協力会社
・外注先
・元請会社

説明すべき相手は山ほどいる。

普通であれば、前社長と一緒に回るものだと思っていた。

だが、元社長はこう言った。

「一緒には行かない」
「勝手に挨拶してこい」

かなり違和感があった。

普通ではない。

なぜそこまで距離を取るのか。
なぜ引き継ぎに非協力的なのか。

その時点では理由がわからなかった。

だが――
その理由も、すぐに理解することになる。

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この記事を書いた人

石川信孝
茨城で建設会社を経営しています
工具はマイナスドライバー1本しか持っていません

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