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起業物語Re36 社会人編

目次

セクハラの内容

セクハラの内容はこうだった
自分が出張で不在にしていたときに起きた出来事だった。
会社に残って遅くまで働いていたNo.2の男性社員と、もう一人、新入社員として入ってきたばかりの若い女性社員。日頃から頑張り屋で、周囲からも信頼されていた女性だった。遅くまでの勤務がひと段落し、No.2が「帰りに飯でも食っていくか?」と軽く声をかけたという。

彼女は特に疑うこともなく、「いいですよ」と答えたらしい。
案内されたのは会社近くの居酒屋。たわいもない話をしながらの食事。彼女はノンアルコール、No.2はビールを飲んでいたという。

食事が終わり、さあ帰ろうという段になって、No.2がこう言ったそうだ。
「ちょっと大切な話があるから、助手席に乗ってくれないか?」

違和感はあったらしいが、彼女はそこでもまだ警戒心を強く持てなかったようで、No.2の車に乗ってしまった。
しばらくは他愛のない会話だったが、突然、No.2が顔を近づけてきてキスを迫ってきた。

「やめてください」

彼女ははっきりと拒絶したが、驚きと恐怖で体がこわばり、言葉以外の抵抗ができなかったという。
そのままNo.2の手は彼女の胸に伸び、次にスカートをめくるような動きを始めた。
彼女はここでようやく全力で拒絶し、車を降りようとした。

そのとき、No.2は信じがたい一言を口にした。

「今後のために、断らないほうがいいよ」

言葉を失った。

その日の夜、彼女から「少しお時間いただけますか」と震える声で連絡が入り、車を飛ばして彼女のもとへ向かった。場所は彼女の自宅近くのファミレス。
席に座るや否や、彼女は泣きながらその一部始終を語ってくれた。

耳を疑うような話だったが、これは解雇に値する重大な問題だと直感的に理解した。

翌日、No.2を呼び出し、事情を聞いた。
最初は曖昧な返答をしていたが、こちらが詳細な証言を突きつけていくうちに、黙り込み、最後には「軽率だった」と口にした。

社内での信頼が厚く、自分の右腕として活躍していたNo.2が、こんな形で一線を越えてしまったことに、言葉では言い表せないほどの失望と怒りを覚えた。

ただ、この問題の本質は個人の行動だけにとどまらない。
会社の組織として、こうした事態が起きたことを重く受け止めなければならない。
特に、自分自身が経営を担っている立場として、被害者である社員を守る責任がある。

彼女は、「これからも働きたいけど、怖くて出社できない」と言った。
それは当然の感情だと思うし、その思いを少しでも軽くするために、できる限りのサポートをするとその場で約束した。

自分はこれまで、スタッフに夢を与えられる職場をつくりたいと思い、理念を大切にしてきた。
しかし、現実にはその理想と真逆の事態が起こってしまった。

信頼していた人間が信頼を裏切り、守るべき社員が心に深い傷を負ってしまった。
これは組織として、そしてリーダーとして、何が欠けていたのかを深く見つめ直す必要があると感じた。

今でも、あの夜の彼女の涙を思い出すと胸が苦しくなる。
会社をつくるというのは、単に仕組みをつくることではない。
そこに関わる「人」を守り、育て、信頼でつなぐことなのだと、あらためて痛感した出来事だった。

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この記事を書いた人

石川信孝
茨城で建設会社を経営しています
工具はマイナスドライバー1本しか持っていません

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