デジタル体験会という全国プロジェクト
タブレット体験会は、大手新聞社のバックアップを受け「デジタル体験会」と名前を変え、一気にスケールアップしていった。本社の担当者と二人三脚で、西は大阪から北は青森まで、全国各地の新聞販売店のお客様を対象に講習を展開。デジタル新聞の拡販を軸にしながら、タブレットを実際に触ってもらう催事が次々と開催された。
ほぼ毎日どこかの県に出張する日々。新幹線や飛行機を乗り継ぎ、ホテルを転々とする生活は体力的にはきついものであったが、同時に「自分が全国の高齢者を笑顔にできている」という誇りが大きな支えになった。
メディアへの登場と印象的な出会い
山形や秋田ではテレビ取材を受け、番組に出演する機会もあった。今思うと、その映像を記録に残しておけばよかったと後悔した。あのときの自分は、ただ目の前の会を成功させることに精一杯で、未来の振り返りなんて想像すらしていなかった。
数多くの体験会の中でも特に記憶に残っているのが大阪での開催であった。大阪といえば「笑いに厳しい街」というイメージを強く持っていたため、自分のスタイル――参加者をいじって笑いを生むやり方が通用するのか不安で仕方なかった。
しかし、実際に会を開いてみるとその不安は吹き飛んだ。大阪の方々はむしろ寛容で、こちらが仕掛ける軽妙なトークや小さなボケに対しても大きなリアクションで返してくれる。そのやりとり自体が会場全体を笑いに包み、結果的に大爆笑のうちに会を終えることができた。
終了後、参加者から「東京の吉本の人やろ?」と言われたり、「落語研究会出身か?」と聞かれるほどであった。午前・午後合わせて100人以上の方に集まっていただき、会場全体が満足感と笑顔に包まれたあの空気感は、今でも自分の大きな自信の源になった。
8年にわたる取り組みへ
こうして始まったデジタル体験会は、その後8年にわたって続いていった。単なる販売イベントではなく、全国の高齢者に「タブレットの楽しさ」と「デジタル新聞の便利さ」を伝える場として定着。お客様の生活に新しい価値を届ける活動として、自分にとってもかけがえのない経験になった。
ただの営業活動ではなく、人を笑顔にし、人を勇気づける――まさにファミレス時代の師匠から教わった「仕事は作業ではなく、人を感動させるもの」という言葉が、この取り組みを通して自分の中で一層深まっていったのだと思った。

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