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起業物語Re58 起業・経営編

雲行きが怪しくなったデジタル体験会

デジタル体験会を全国で開催し続けて数年。人材がなかなか定着せず、採用しては辞め、辞めてはまた採用を繰り返す日々だったが、それでも自分が前に立つことでなんとか成り立っていた。震災直後に好調だったショッピングモールでのモバイルルータ販売も、時の流れとともに徐々に陰りが見え始め、売り上げは減少傾向にあった。そんな中で、さらなる追い打ちをかける出来事が起こった。


目次

I氏の異動

某大手新聞社のデジタル体験会担当者であったI氏が異動になるという話が入った。I氏はとにかく厳しい人であった。仕事に対しての姿勢、言葉の選び方、ものの言い回し――そのすべてが新聞社らしい緊張感と責任感に裏打ちされていた。

ときに叱られることもあったが、その一言一言が的確で、自分にとっては大きな学びの機会だった。誤解を生まない言葉選び、相手に伝わるように整える話し方、何より「責任を背負う覚悟」。I氏とともに過ごした5年間は、営業や講師としてだけでなく、社会人として大きく成長できた期間だったと思う。

しかし、そのI氏が異動となり、担当が別の人物に替わってしまった。そこから状況は一変した。


運営環境の悪化

I氏が担当していた頃は、ほぼ毎週4〜5日、全国のどこかで体験会が開催されていた。しかし新しい担当者になってからは、その回数が一気に減り、週1〜2回程度に縮小されてしまった。全国を飛び回りながら、お客様の前で講師を務めることが日常だった自分にとって、この変化は大きな痛手だった。

さらに追い打ちをかけたのが「運営費用のカット」だった。これまでは交通費の一部として運営費をわずかながらも支給してもらっていたが、それも突然なくなったのだ。これでは活動を続けるのは難しい。自分は新担当者に丁寧に説明した。

「このままでは会社として運営ができません。ぜひ早めにご判断をいただけないでしょうか」

必死の思いで伝えたつもりだった。だが、返ってきた答えは予想外のものだった。


新担当者の逆ギレ

「俺にそんな口のききかたするのか!大手の新聞社とタイアップできるだけ感謝しろよ!!」

突然の激しい言葉。正直、頭が真っ白になった。こちらは必死に状況を説明したつもりだったが、相手には「恩知らず」として受け止められてしまったのだろう。自分の伝え方がよくなかったのかもしれない。だが、会社の存続がかかっている以上、黙って受け入れるわけにはいかない。

それでも、提案はことごとく却下された。新しい施策を打とうとしても耳を貸してもらえず、先行きの見えない八方塞がりの状況に追い込まれていった。


不穏な空気と次の事件

I氏が去ったことで、これまで築き上げてきた信頼関係の基盤は一気に崩れ去った。頼れる人がいなくなり、運営費用は削られ、活動の回数も減る。売上は右肩下がり、社員も定着しない。まるで地盤が少しずつ崩れていくような不安感に包まれていた。

そして、そんな中さらに追い打ちをかける事件が起きることになる。事業の根幹を揺るがす、大きな出来事だった。

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この記事を書いた人

石川信孝
茨城で建設会社を経営しています
工具はマイナスドライバー1本しか持っていません

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